一人ひとりに寄り添う新しいキャリア支援のかたち:「社外メンタープログラム」体験談(後編)
JR西日本様では、社員一人ひとりの多様な個性の掛け合わせにより、新たな価値を生み出し、将来にわたってすべてのステークホルダーに価値を提供し続けることを目指し、ダイバーシティ推進に取り組んでいます。その一環として初めて導入された「社外メンタープログラム」は、社員が抱える課題やモヤモヤを解消し、新たな視点や可能性を見出すきっかけとなりました。
前編では、プログラム導入の背景や参加者の体験を伺いました。後編ではプログラムを通じて得られた学びや変化、そして今後の展望についてお話しいただきます。社員一人ひとりが自分の可能性を引き出し、一歩踏み出す勇気をどのように手にしたのか、そのプロセスを探ります。
【対談】
◾️ダイバーシティ推進室長 中山様
◾️事務局:白壁様、山本様
◾️参加者:服部様、福本様
プログラム参加者の体験談
—プログラムを受けたことで、どのような変化を感じましたか?
参加者 服部さん(以下、服部さん):子育てと仕事を両立していると、とにかく時間が足りず、消化不良のような感覚が残っていました。ですが、今回の経験を通じて、「今この瞬間で一番大事なことは何か」を素早く判断できるようになったと感じています。その結果、時間の使い方も変わりました。
おそらく、こうした整理の時間を定期的に設けないと、また日々の忙しさに飲み込まれてしまうでしょう。子育てが少し落ち着いたタイミングで再び自分を振り返る時間を作るなど、これからも意識していきたいと思っています。
参加者 福本さん(以下、福本さん):これまで社内でキャリアに関する面談の機会はありましたが、主に今の業務にフォーカスしたもので、もっと長期的に「自分は将来どうなりたいか」を考えるような場面は少なかったように思います。今回のプログラムでは、自分自身をじっくり省みることで、将来のビジョンについて考える貴重な経験を得ることができました。
特に「自分らしさ」というテーマについて深く向き合い、それを明確に言語化できたことは大きな成果です。私は忙しい中でも自分らしさを大事にしたいという気持ちを持っているのだと改めて実感しました。そのため、自分らしさを日常の中に少しでも取り入れる工夫をしようと思うようになりました。
たとえば、私はアウトプットの質を高めるためにもインプットを得ることを大切にしているのですが、出産後は日々の生活に追われ、インプットを得るための時間を十分に持てていませんでした。そこで、子どもが遊んでいる横で紙の本を読むことにしました。
そうすれば、自分の学びにもつながり、子どもにもポジティブな影響を与えることができると感じられました。自分らしさを維持しつつ、生活の中でどう実現していくかという意識に変化した事例の一つです。
—メンターとはどのような関わりをされましたか?
福本さん:最初にメンターの方を紹介していただいたとき、プロフィールを見て驚きました。「こんな素晴らしいキャリアを持つ人に、自分は到底なれない」と思うほどの方で。そんな方から、もっと頑張れと言われるのではないかと少し身構えていたんです。しかし実際にお話しすると、「私もそんなことがあったよ」とメンターさんもかつて私と同じような悩みを抱えていたことがあったと話してくださって。
そのおかげで、悩みながら歩んでいる自分の道のりが、将来につながる道の一つなんだと気づけたんです。他の方も同じように悩みながら前に進んでいるんだと実感できたのは、大きな励みになりました。
服部さん:私もメンターの方と初めてお会いするまでは不安でしたが、実際にお会いすると不安はすぐになくなりました。メンターの方が安心して話せる場を作ってくださったおかげで、自然と本音を打ち明けることができたんです。自分と近しい境遇で先を進まれている経験豊富な社外メンターの方だからこそ自分をさらけ出して話せる時間となり、本当に貴重な機会だったと感じています。メンタリングの時間が毎回とても楽しみで、プログラムが終了した際には名残惜しいほどでした。
福本さん:本当にそうですね。私も名残惜しさを感じました。

—座談会の印象について教えてください。
服部さん:座談会で他の参加者の話を聞けたことは、とても良い経験になりました。他の人がどのようなことを感じ、学んだのかを知ることで、自分自身の学びも深まったように感じています。
福本さん:同じプログラムを受けていても、得られる学びはそれぞれ違います。それでも、共通して同じような悩みを抱えていることに気づきました。中には先輩社員もいらっしゃったのですが、職場では完璧に見えている先輩たちにも、じつは悩みがあることを知ることができました。自分より先のステージの悩みについて具体的に聞けたのも、とても参考になりましたね。座談会があったことで、メンターからだけでなく他の参加者からも多くの学びを得ることができました。
プログラムを終えて感じること
—今回のプログラムを振り返って、事務局としてどのような印象をお持ちですか?
山本さん:キックオフの時点では、参加者の皆さんがそれぞれ悩みを抱えている印象がありました。一方で、皆さんが仕事に対して熱意と誇りを持っていることも非常に印象的でした。「もっと時間があれば、もっと良い成果を出せるのに」という理想と現実のギャップに、もどかしさを抱えている様子もありましたね。
しかしプログラムが進むにつれて、メンターとの対話を通じてその課題やモヤモヤを言葉にして整理し、「自分が何に取り組むべきか」を明確にしていく姿が見られました。
白壁さん:そうですね。「新しいことを始める」というよりも、メンターの方が参加者の中にすでにある答えを丁寧に引き出しながら寄り添ってくださったことで、参加者自身が課題を明確化し、新たな可能性に目を向けられたことが、大きな成果だったと思います。
山本さん:実際、中には当初「管理職にはなりたくない」と明言していた方もいらっしゃいましたが、メンタリングを通じて「管理職もやってみたらいいかもしれない」と前向きに考えられるようになったケースもありました。皆さんの表情がどんどん明るくなっていったのが、とても印象的でしたね。私たちもその様子を見て、このプログラムが持つ大きな価値を改めて実感しています。
また、座談会やフォロー体制も丁寧で手厚く、プログラム全体にわたるサポートの質の高さに驚きました。参加者からは「時間をおいてまたもう一度受けたい」という声も寄せられています。今後はこうした参加者の意見も参考にしながら、次回以降のプログラム内容や導入方法をさらに検討していきたいと考えています。
—本プログラムのご感想や今後の展望についてお聞かせください。
白壁さん:このプログラムを通じて実感したのは、社員が自分自身のキャリアについてじっくり考える場が非常に限られているということです。日々の業務に追われる中で、自分の人生について振り返る余裕がないことも多いのではないでしょうか。このプログラムが、社員一人ひとりにとって自分を見つめ直す貴重な機会となったと思います。また、今回の経験を活かし、参加者が将来的に「社内メンター」となり、他の社員を支える動きが生まれることにも期待したいですね。
中山さん:プログラムを通じて、社員一人ひとりの可能性を引き出し、その背中を押していただいたことに感謝しています。「こんなにも意欲と能力を持つ社員が多くいるのだ」と改めて実感しました。
プログラム開始直後に参加者の一人が私を呼び止めて、「このプログラム、本当に素晴らしいです」と伝えてくれたことがあったのです。その言葉を聞いて、アーチキャリアさんにお願いして本当によかったと心から思いました。
今回のプログラムは、近い将来に管理職としての活躍を期待している女性社員を対象に実施しましたが、キャリアに対して悩みを抱えている社員は、実際には子育ての有無や役職に関わらずたくさんいると思います。今後も社員一人ひとりの成長を支え、自分のキャリアや人生について深く考える機会や、自分の可能性を信じて前に進めるような環境を提供していきたいと考えています。
(取材日/2025年10月15日)
執筆:田中亜由美

