誰もが自分らしいキャリアを築ける環境を目指して:「社外メンタープログラム」体験談(後編)
株式会社ホロニック様では、性別を問わず誰もが活躍できる職場づくりに取り組んできましたが、女性管理職の割合が全体の3割という現状に課題を感じていました。その背景には、女性社員がキャリアを進める中で直面するライフステージの変化が大きく影響しています。こうした課題を解決するために「社外メンタープログラム」を導入いただきました。社外のメンターだからこそ、社内では話しにくい悩みや本音を率直に相談できる環境が整い、新たな視点や気づきを得られると期待されてのことです。
本記事では、プログラムに参加した社員たちによる体験談を通じて、メンタリングがもたらした気づきや成長、そして展望について伺いました。
【対談】
◾️取締役 経営管理本部本部長 薮内様
◾️事務局:阿部様
◾️参加者:宮本様、寺尾様、金田様
プログラム参加者の体験談
—プログラムではどのような体験をされましたか?
宮本さん:メンタリングを受ける前、私はすでにマネージャーとしての役職には就いていたのですが、新たに責任のあるポジションへのお話をいただいたところでした。ただ、正直に言うと、自分にその役割が果たせるのかという不安が大きく、周りには専門性の高いスタッフが多いこともあって、自信を持てず、次の役割への覚悟がまだできていない状態でした。
1回目のメンタリングで、その気持ちを率直にお話ししたんです。すると、メンターさんから「管理職は会社から求められている役割の一つ」とアドバイスをいただきました。それまでの私は、自分がどうあるべきかという視点で考え過ぎていたのですが、この言葉をきっかけに、「会社が求めていることを全うするにはどうすればいいのか」という視点で考えられるようになったんです。自分が180度変わらないといけないと思うとパワーも必要だしストレスもかかりますが、役割を全うするという考え方に気づけたことで、気持ちがとても前向きになりました。
—セッションを重ねる中で、新たな気づきはありましたか?
宮本さん:私は、好きか嫌いかという感覚を大切にしながら進めるタイプなのですが、私とチームのスタッフではこだわりたい部分が異なることもあります。そういったときに、チーム全体で一緒に走って、成果を出すにはどうすればいいか、メンターさんと話しました。メンターさんは、「チームのスタッフそれぞれが持つやる気スイッチを理解することが大切。私は対話をとても大切にしている」という話をしてくださって。
そのときはすぐにはピンとこなかったのですが、後日、別のマネジメント研修を受けたり、スタッフと話したりする中で、メンターさんの言葉の意味が徐々に理解できるようになり、腑に落ちていきました。その結果、自分の視野がとても広がったと感じています。
—最終回のセッションではどのような内容を話しましたか?
宮本さん:2回目のセッションまで終えて、「自分自身の好き嫌いはどのように表現していけばいいのか」という新たな疑問がでてきたんです。それについてメンターさんに相談したところ、「自分のやりたいことを実現する場は仕事の場だけじゃなくてもいい」という言葉をいただき、とても印象に残っています。
自己実現の場を仕事に限定してしまうと行き詰まってしまうかもしれませんが、プライベートや他の活動を含め、1人の女性としてさまざまなシーンも大事にすることは素敵なことだと感じました。この考え方を知ったことで、視野が大きく広がり、役割についても改めて考えるきっかけとなりましたね。
—メンタリングを通して得たものはどのようなことですか?
宮本さん:メンタリングを通じて、その時々で抱えていた悩みがとてもクリアになりました。今では、新しいポジションに対する不安はほとんどなくなったように感じています。ただ、日常の中で自分の課題や至らなさを感じる場面はまだまだあります。だからこそ、今回のメンタリングでの経験を活かしながら、長い目で成長していきたいと思っています。
まだ「私はこういう管理職になりたい」という具体的な答えには至っていませんが、「部下の梯子を外さない人でありたい」というメンターさんの言葉が心に残っています。私もそのような存在になれるように、一歩ずつ前進していきたいと考えています。
メンターやプログラムの印象について
—プログラムについての印象を教えてください。
阿部さん:プログラムの前後、途中に組み込まれていた、研修&座談会がとても印象に残っています。初めて聞いたときは、正直、メンタリングとは別に参加者だけで集まる、研修&座談会がどのように進むのか、必要なのか想像がつきませんでした。それに、参加者の皆さんがメンタリングで話したプライベートな内容をその場でどれだけ共有してくれるのだろうという不安もありました。しかし、実際に研修&座談会が始まってみると、予想以上に効果がありましたね。個別のメンタリングで得たことを社内で共有することで、お互いに気づきを得たり学び合ったりと、相乗効果が生まれているのを感じました。
—参加者の皆さんは座談会をどう感じましたか?
寺尾さん:私は初回のメンタリングでとても満足してしまって、「次に何を話そうかな」と迷っていたんです。でも、研修&座談会で他の参加者の話を聞くことで、メンタリングに対する向き合い方を見直すきっかけになりました。また、宮本さんや金田さんといった私と違うステージにいる方々の経験や悩みを知ることで、将来への漠然とした不安に対して大きな励みになりました。
宮本さん:それぞれの課題や悩みを話し合う機会は普段なかなかないので、他の部署や年次が異なる人たちも似たような悩みを抱えていると知ることができたのはよかったですね。
—メンターとの対話やマッチングについて、どのように感じていますか?
阿部さん:メンターとメンティのマッチングに非常に力を入れていただき、それぞれの性格やニーズにぴったり合った方を選んでいただいきました。参加者の皆さんがメンターからの言葉を素直に受け止め、感動していた姿がとても印象的でしたね。それだけメンターとの信頼関係がしっかり築けていたのだと思います。
宮本さん:私は「はっきりと意見を言ってくれる人がいいです」と事前に希望を伝えていたのですが、まさにその通りの方がメンターについてくださいました。表面上は柔らかい雰囲気の方ですが、言葉には芯があり、とても聡明な方でした。答えをただ教えるのではなく、たくさんのヒントを与えてくださる方で、後々になって「ああ、こういうことを言っていたんだ」と気づきを得ることも多かったです。
金田さん:私は、強く否定されたり厳しく言われたりするのが苦手だと事前にお伝えしていました。メンターさんは本当に話しやすく温かい方で、時には冗談を言ったり、頼れるお姉さんみたいな存在でしたね。私はどちらかというと自分から話す方なのですが、メンターさんはしっかり聞き役に回ってくださって、適切なタイミングで「こんな考え方もあるよ」とアドバイスをくださるので、本当にありがたかったです。
寺尾さん:私も強い言葉が苦手だと事前に伝えていたのですが、メンターさんは穏やかな方で、こちらに質問をたくさんしてくださって、「どうしてそう思うんだろう」と自分で考えを深めるきっかけを与えてくださいました。私が質問した時には、ご自身のプライベートなことや経験を交えながら答えてくださって、すごく参考になりました。また、社外の方だからこそ、「お世辞かな?」などと勘ぐることなく、素直に意見を受け取ることができたのも良かったです。
宮本さん:最初は社外の人に仕事の話をしても伝わるのかな、正直に話しても大丈夫かなと思っていましたが、いざ始めてみると、社外の方だからこそ安心して何でも話せました。他社の考え方を知ることで、自社の良い点や改善すべき点が見えてきたのも貴重な経験でしたね。
プログラムを終えて感じること
—今回のプログラムを踏まえて、今後どのような取り組みや課題解決を目指していきたいとお考えですか?
阿部さん:今回のプログラムを通じて、とても大きな効果を実感しました。特定の人だけでなく、もっと多くの社員が日常的にこうした機会を持てるようになったら理想的だと感じます。「誰かに相談するほどではないけれど、少し悩んでいることがある」という状況って、意外と多くの人が抱えているのではないでしょうか。そのタイミングでメンターと対話する機会があると、非常に効果的な結果が生まれるのではないかと感じます。
薮内さん:正直、プログラムが始まる前は「メンタリングをたった3回行うだけで、本当に変化が生まれるのか」と半信半疑でした。しかし結果的には、3回のセッションだけでも継続的に影響を及ぼすほどの大きなインパクトをもたらしてくれました。このことには驚きましたね。
メンターによる丁寧な対応と、アーチ・キャリアさんのプログラムとプロフェッショナルな伴走のおかげで、「社外であるからこそ、素直に話せる・聞ける」と感じ、予想以上に多くの気づきや学びを得ることができたのだと思います。また、社内ではなかなか共有しにくいような悩みや課題も、安心して話せる環境があるということの重要性を改めて実感しました。さらに、自分より役職が高い人に対して率直な気持ちを相談する機会も、社内では得にくいものです。そうした場を会社が提供できることには、とても大きな意義があると感じました。
一方で課題も見えてきました。当社は制度やルールを柔軟に運用できる風土を持っていますが、個々人が抱える悩みは制度やルールでは解決できないケースが少なくありません。女性に向けた制度を数多く導入してきましたが、それだけでは根本的なサポートにならないという現実も明らかになりました。
近年は女性が社会で活躍するのが当たり前になりつつある一方で、男性も家庭において積極的に役割を担うケースが増えています。私たちが目指すのは、男女を問わず社員一人ひとりのパーソナルな部分に寄り添い、互いに後押しし合える関係性を自然に築ける企業文化の醸成をしていくことです。そのような環境を築くことで、社員全員が生き生きと働ける会社を実現できると考えています。
(取材日/2025年8月27日)
執筆:田中亜由美

